[東アフリカ・クラスター第4回研究会]波佐間逸博「牧畜家畜―人間の共生的な関係:東ナイロート牧畜社会の個体主義」(2013年05月11日開催)

日 時:2013年5月11日(土) 10:00~12:00
場 所:京都大学稲盛財団記念館 小会議室1

プログラム

「牧畜家畜―人間の共生的な関係:東ナイロート牧畜社会の個体主義」
波佐間逸博(長崎大学)

報告

波佐間氏は、ウガンダ北東部の牧畜民カリモジョンとドドスにおける人―家畜関係、人―人関係の特徴について論じた。波佐間氏はまず人―動物関係をめぐる既存の議論を批判的に検討したあとで、家畜の特定個体が人間からの名前の呼びかけに適切に反応しており家畜が人間を個体識別していることなどから、この地域の牧畜民に特徴的な家畜―人間関係の特徴として「個体主義的な共生関係」を抽出した。さらに、近隣集団とのレイディングの事例を検討しながら、牧畜民が他者を「敵/仲間」といった集団範疇に回収するのではなく、対面的な相互行為にもとづき他者をそのたびごとに個別化していることに注目した。そして、人―家畜関係、人―人関係に共通する牧畜民に特徴的な他者に対する態度として「かけがえのない個へのアテンション」をあげた。討論の場では、西洋的な「個人性」と英語では同じ語で示される「個体性(individuality)」という語が牧畜民の特徴を表す際に適切なのか、付与される「個体性」には、個別の家畜ごと、他者ごとに濃淡があるのではないか、人―家畜関係における「個へのアテンション」と人―人関係における「個へのアテンション」の関係はどのようなものか、といった点が論じられた。(佐川徹)

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