日 時: 2012年5月11日(金)
場 所: 京都大学稲盛記念館 3階 小会議室Ⅱ
プログラム
「ザンビアにおける土地法の改正とベンバ社会の混乱」
大山修一(京都大学)
報告
報告では、1995年に施行された新・土地法によって、土地保有証明書が強化され、外国人の土地保有に規制が緩和されるとともに、土地の権利については各地域や民族のチーフに大きな裁量がもたらされることになったこと、ザンビア北部で焼畑農業を続けてきたベンバ社会においても、この法律に起因してさまざまなタイプの土地の囲い込みが生じ、自給的農業の持続性が危機的状況におかれていることが論じられた。
討論では、新・土地法とそれに基づく制度が強い力を発揮する局面と、むしろそれが無効化される局面がありうることが議論された。とりわけ土地の囲い込みを認めるか否かや、その方法や手続きのあり方には、チーフの個人的資質や経験が、大きく影響していることに関心が集まった。そのために制度的に「混乱」が生じたり、不平等感を感じる人びとがいる一方で、チーフさえ交代すれば土地をめぐる社会状況も大きく変わりうるという可塑性によって、権力や富の集中といった一方向的な展開が避けられている側面があることも指摘された。また外国資本の参入や都市住民などによる「土地収奪」問題は、アフリカ全体に通じる今日的課題であり、それによって生じる紛争とその解決について広範囲から議論を深めることの重要性も確認された。(津田塾大学 丸山淳子)