日時:2019年11月2日(土)13:00-14:45
場所:京都大学稲盛財団記念館3階301
報告タイトル:「正統な代理人?:アフリカの地域機構の立場から見た国連コートジボワール活動」
氏名:佐藤章
所属:アジア経済研究所
本報告は2011年4月に国連PKOがコートジボワールで行った軍事行動に焦点を当て、武力紛争への強い介入策に必要な国際的な正統性がどのように構築されたかについて論じるものである。
この軍事行動は、現地に駐留していた国連PKO (国連コートジボワール活動: UNOCI)が、国連憲章第7章の権限に基づき、フランス軍の支援のもと、ローラン・バボ大統領の指揮下にある軍事拠点を攻撃したものであり、「保護する責任」の考えに則って行われた介入でもあったと一般に理解されている。ただ、この軍事行動に関しては、これがバボ大統領の失脚を確実なものとすることが事前に十分に予見されるものであった。では、このように副次的効果をもたらす政治的な介入になることがあらかじめ想定されたにもかかわらず、国連PKOが軍事行動に踏み切りえたのはなぜだろうか。
本報告はこのクエスチョンに対して、アフリカの地域機構の態度から回答を与えようとするものであり、考察は、(1) 国連PKOが軍事行動をとる正統性をアフリカ諸国が保証したとい側面、(2)、ECOWASが自主的に遂行してもかまわなかった軍事行動を国連PKOが代わりに行ってくれたという側面、の2方向から行われた。
報告に対しては、主に、当時の安保理が直面していた状況や、地域機構を主体とした記述に伴う問題などをめぐって討論が行われ、研究会の最終成果執筆に向けた有意義な機会となった。
文責:佐藤章