日時:2018年6月16日(土)12:30~14:30
場所:京都大学稲盛財団記念館3階中会議室
6月16日の班会議では、Ivan Illich著「Tools of conviviality」の読み合わせ会を行った。会のリーダーの澁谷和朗氏(広島大学)、大塲麻代氏(帝京大学)による課題書の要旨と論点が発表されたのち、全体での意見交換がなされた。Illichは、産業化の中で、細分化され、専門家しか関われない社会制度が生まれ、効率性と生産性が無制限に追究される社会を批判している。そして、それに代わる概念として、自律的な人同士、人と社会、人と環境の交流の中で、全ての構成員が他者に支配されず、複数の価値次元でバランスを保つ方法となりうるconvivialityを提示している。
班会議では、住民参加型学校運営の例などを引きつつ、住民の主体的関心や、もともとある社会の関係性の中で教育というものをとらえるconvivialityは、顔見知りの人間関係の中では有効だが、そうした直近の人間関係を越えた規模になると、一般化・汎用化された制度・政策を想定せざるを得ないのではないか。納得可能性=自立(自律)性、自己決定に通じる考えと、モデル構築、スケールアップを目指す政策とは根本的に両立するのか。といった議論がなされた。