日時:2018年1月28日(日)11:30~15:00
場所:京都大学稲盛財団記念館3階小会議室
今回の班研究会では研究発表は行なわず、参加者全員で、これまでの約2年間の「アフリカ潜在力」についての班内外における議論を振り返り、それを踏まえて今後の環境・生態班における研究の進め方について、「アフリカ潜在力」の扱いを含めて議論をした。
これまでに環境・生態班の研究会では、環境ガバナンス論やポリティカル・エコロジー論、エリア・ケイパビリティ論などが、「参加」や「協働」、「サステナビリティ」などの今日の世界で支配的な概念を批判するための視座として参照されてきた。それらについての議論は有意義なものであったが、その一方で、そうした議論と「アフリカ潜在力」の関係を充分に議論することはできずにきた。その理由としては、これまでの「アフリカ潜在力」についての議論を理解してはいるものの、環境・生態班として「アフリカ潜在力」をどのように扱っていくのかという点についての共通理解までは築けずにきたということが考えられる。
この点について今回の班研究会の中で議論し、環境・生態班は今後、「アフリカ潜在力」の概念を理論的に深化させることよりも、これまでに既に理論化されている「アフリカ潜在力」概念の応用性と汎用性を追求することに重きを置くことで一応の合意をした。その際に重要な点として、第一に、それを各自の研究に応用する際には、今日の世界で支配的な力を持っている環境や生態に関する認識や言説に意識を配り、それによって見過ごされたり過小評価されたりしている実践や思考、認識に光を当てるという方針が確認された。また第二に、「アフリカ潜在力」の概念ないし理論を適用することが研究に新たな発展をもたらさない場合があったならば、その原因を追究することで「アフリカ潜在力」の不充分な点を明らかにし、その深化を目指すことが同意された。
また、現在のところ環境・生態班は社会学系のメンバーが多いが、議論の幅を広げるために今後は地理学系、類人猿学系、生態人類学系の増員を図るとともに、必要に応じてアフリカ以外の地域をフィールドとする研究者の招へいも検討することが決まった。
目黒紀夫