日時:2017年6月17日(土)12:30~14:30
場所:京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科共同棟5階504
出席者(敬称略):落合・平野・阪本・佐藤・戸田・浜田・松本・中村
落合班長より、本班の最終成果物として、英語と日本語両方での出版を目指し、4年目に英語原稿、5年目に日本語原稿を提出することが確認された。また3月に行われた班長会議をうけ、海外研究協力者候補が検討された。
今回は、前回のブレインストーミングを深化させて、班の方向性を確認した。
対立・共生を「個」に注目して描くということが前回の提案だったが、この提案の再検討がおこなわれた。「個」に注目することの難しさについての意見が出された。たとえば、メンバーの自由な研究が大きく制限されたり、対立・共生よりも「個」の方が全面に出てしまう可能性や、個人の語りとその分析の羅列となってしまう可能性が指摘された。その一方で、「個」をとおして描くという統一の手法をとることによって、アフリカ潜在力の新たなあり方が見えてくる可能性や、ナラティブ中心にならない「個」へのアプローチも検討された。「個」のとりあげかたは、作家であればその作品でもいいし、障害者であればその生き様や生存戦略になるかもしれないし、FGM/Cであればそれを受ける女性、もしくはそうでない男性にもなりえるし、取り扱うイシューによって「個」のとりあげ方も多様になるであろうことが確認された。
また、「個」を軸に研究を進めるかどうかの実現可能性とは別に、対立・共生というトピックのサブカテゴリーとして、対立の種類(明らかに紛争がおこっているような目に見える対立もあるし、対立しながら共生しているような事象もある)や対立の規模(国家規模というよりは、コミューナル・レベルになるのか、または、マクロなレベルを扱いながら家族や地域といったミクロレベルを両方扱うことになるのか、など)をキーにまとめていく方法も検討された。
次回研究会では、本日の議論をふまえて、メンバーがそれぞれに設定しているテーマを、対立軸を意識しながら先鋭化させてもちより、オムニバス形式で全員が発表する。「個」の視点を加えることができるひとは、加えたアイディアを発表し、引き続き、対立・共生班の研究の方向性を検討していくことが決定された。
中村香子