「ワークショップ『アフリカにおける参加型観光』への参加報告」
西﨑 伸子
(派遣先国:南アフリカ、ケープタウン/海外出張期間:2017年3月4日~3月8日)
南アフリカ・ケープタウンで開催されたワークショップ「アフリカにおける参加型観光」に、本プロジェクトとかかわりの深い日本人研究者とともに参加し、研究発表をおこないました。最初に主催者からワークショップの趣旨が説明されました。会場である!khuwa tuuで働くスタッフが参加していたため、アカデミックな事例報告だけでなく、アフリカ観光の特徴や課題を参加者全員が共有できるように、議論のポイントが3点示されました。一つ目は観光産業に地元住民がどのぐらい参加するべきなのか、二つ目は、観光から受け取る地域住民の便益とは何か、三つ目は観光がもたらす負の影響は何か、です。
わたしは、「エチオピアの民族観光」について報告しました。とくに近年、外国人観光客数が著しく増えているエチオピア西南部の民族文化観光の実態を報告し、ホスト側と観光客の「出会い」と「まなざし」によって、若者層を中心に観光業へ参入するアクターが増えていること、アクターの多様化によって地域の観光資源が豊富になっていること、それによって地域住民の参加や経済的収入を得る機会がつくられていることを説明しました。観光業が新しい産業として地域にはいってきていると同時に、開発にともなう土地収奪によって、産業として不安定な観光業に農牧民が依存せざるをえない状況となっていることを強調しました。
タンザニア、ケニア、ボツワナ、ガボンの自然観光と民族文化観光の事例報告に加えて、!khuwa tuuの説明をスタッフからしていただきました。会場となった施設は、NGOが所有・運営しており、ブッシュマン観光を観光客に提供したり、そのためにスタッフにトレーニングをおこなったりしています。ミーテンィグルームだけでなく、とても清潔でおしゃれな宿泊施設やレストランを併設しています。最後の総合討論では、コメンテーターを含めて、コミュニティの観光のかかわりなどについて活発な議論がおこなわれました。