「コートジボワール西部における内戦後の土地を巡る紛争」
藤山 真由美
(派遣先国:コートジボワール/海外出張期間:2016年10月11日〜12月22日)
コートジボワールでは2010年12月から2011年4月の第二次内戦により、政府の発表によると約3200名の犠牲者が発生しました。私が調査を実施した西部のゲモン州及びカヴァリー州はアビジャンに次いで犠牲者が出ており、一般的にいまだ危険な地域とのイメージがありますが、内戦終了から5年が経過して治安は回復し、内戦で破壊された小学校や住居が再建されています。
コートジボワールは世界最大の生産量を誇るカカオの生産国であり、調査地の西部は南西部、中西部に次ぐカカオの生産地です。初代大統領ウフェ・ボワニが1963年に表明した「土地は開墾した者に帰属する」という方針のもと、コートジボワール国内だけではなく、ブルキナファソなどの国外からも多くの移民がカカオの生産に適した地域に移住しました。西部にも国内外から多数の移民が入植し、その人口は西部の先住者を上回っています。
今回の調査では、西部のゲモン州・カヴァリー州における10カ所の村で、2002年以降の内戦が同地域の土地問題にどのような影響を及ぼしたのかについて調べました。調査地は、2002年の第一次内戦で隣国リベリア内戦の影響も相まって政府軍と反乱軍の戦闘が激化し、アビジャンの次に国内避難民が多く発生しました。住民が避難している間、保有者不在となった土地は、本来の保有者ではないと思われる者から、新たに流入した国内・国外の移民に販売されるという事態が頻発しました。内戦が終了した後にゲモン州・カヴァリー州から避難していた住民が帰還すると、自分が保有すると見なしていた土地が無断で販売され、新たな移民に占有されているという状況に直面し、本来の土地の保有者であると主張する住民とその土地を購入した移民との間で、土地の権利を巡る問題が多発しています。今後、実施した調査結果の分析を進め、ゲモン州・カヴァリー州における内戦と土地問題の要因を考察していきます。